そのため、日用品である農耕用の道具でさえ戦闘に備えた様式を模しており、あらゆる葬祭事においても生活を形作ってゆくのに一番必要となるこの道具がたびたび登場するような慣習が形作られていったのでした。
斧としての機能性とは関係の無い部品があらかじめ一体化されているのもそのためである。
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戦闘時には上画像のような向きでは使用しない。
なぜなら、日用品として用いる場合においては万能斧として正しい向きなのではあるが、戦闘時においては敏捷さがその勝利に大きく関わってくるものであるから、戦闘時は上下を逆に持ち替えて戦うのがこの国の基本戦闘スタイルである。
が、時と場合によってはスピードよりもその威力を重視して、柔軟に使いこなせるようになることが日々の訓練において求められている最大の課題でもある。
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この国での戦闘で、相手を死に至らしめる事はあまり良いこととは捉えられていない。
もちろん時と場合によっては相手を殺してしまうことも当然な結果ではあるが、基本的な考え方において「死は何も解決しない」という概念がその底辺にあるように思われる。
そして、死というものが「生きる」ということにも直結した概念が、この国独自の生活習慣を形作ってもいるように思われる。
そのため、戦闘用としてだけの機能しか持たない特化した”武器”というものは存在せず、こうした日用品の中にその機能が盛り込まれ、同化していったものと見られる。
祝祭時においては、各家庭においてペイントされたこの道具をその家の家長が胸にかかげて参加することが、正式なスタイルである。(ベルトなどは用いてはならないことになっている。これを自分の腕だけで胸にかかげていられないようなら、家長としてそんな力無しでは情けない、という見方が普通である。これは、家長というものが”その家を守ることの出来る力が充分に備わっている”という証でもあるためで、この国ではとても重要なことでもある。金銭や地位よりも、まず筋力や体力を重要視する。これはいざ戦闘になった時に金銭や地位は何の役にも立たないというこの国の長い戦闘の歴史から導き出された答えである。)

ペイントされる模様には各家庭独自の、代々受け継がれてきたものも入れるのだが、ペイントするのはその家族全員で行うことが慣習である。
これは家族のつながりを再確認するための大事なイベントのひとつとされる。
あらかじめペイントされたものを用意してあるのではなく、日常の中で、その家の家長が普段使用しているものを使うことが常識となっている。
ペイントされたものがその家の現在の状況を如実に表すため、みな真剣に取り組むが、ズルをしてこっそり絵の得意な人間にお金を払って描いてもらったり、日用品としては使えないような高価な素材で作られた物を用意してくるような不届きな者もたまにいる。が、大抵はよその国から移り住んで来た者や、一部の金持ち連中だが、そういった者たちは葬祭時だけでなく、日常の生活の中でも日陰者扱いされ、白い目で見られることとなる。
葬時においてだけは、本物を使用することは無い。
葬時に参加する人々もこれを持ち寄ることは無い。
この道具が登場するのは、死した者を埋葬するその最後の時に、厳(おごそ)かに恭(うやうや)しく木の箱に入れられて式の最後を締めくくる。
この国では土葬しかない。
しかも墓地という概念は無く、生前から「どこどこに埋めて欲しい」という話をことあるごとに家族や友人たちと話をするのが普通であるため、「誰々さんはどこどこに埋められる」ということは皆が普通に知っていることでもある。
そして、葬時に使われる場合のこの道具だけは金属で作られていない。
死した者と一緒に葬られるため、特別な物が用意される。
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一般的に”モンモリ”と呼ばれる白い粘土を型枠に入れてよく乾かした物に、炭を砕いて水に溶かした黒い液体で模様が描かれる。(柄の部分だけはよく磨かれた木に、ペイントされた物で出来ている。)
”モンモリ”は水分を吸収しやすい粘土で、よく乾かしてもあまり硬くならない。
その上、完全に乾かした状態の物でも水分を吸収しやすいため、模様を描く時は水分調整にも気を付けなければならないし、空気中の水分を吸ってモロくなりやすいため、取り扱いは慎重に行わなければならない。
葬時に一番最後に登場して、恭しく運ばれてくるのはそのためでもある。
これは、すでに掘られた穴の中に横たわっっている死者の胸の上にそっと置かれる。
慎重に少しずつ死者の周囲から土をかぶせられ、土はこんもりと盛られる。
時が経つと地下に空洞ができて陥没するため、あらかじめ土を盛っておく。
その盛り土には、必ず苗木を植えることになっている。
ある程度の大きさの苗木を植え、それを枯らさないように毎日見守るのが残された家族たちの義務である。
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