遙かな過去から現在に至るまでのワタクシメの恥ずかしいかもしれない産物を(ある程度)赤裸々に公開してしまおう!と。
「魔人」13

 「ククク。さあ、どうされますか?ククク。」

 本当に楽しんでいるようだった。
 私は耳鳴りがひどくて他の声は全く聞こえないと言うのに、そいつのイヤな笑い声だけははっきりと聞こえていた。
 頭の中に直接響いて来るものだから、耳をふさいでも全く意味がないのはわかっていた。

 美しい人はその細長く白い左手の指先に携えた日本刀を、ゆっくりとだが右手で抜こうとしているようだった。

 「ほほぉ、まだ何か隠し球でもありますか。ククク。」

 しかしそいつはそれを待っているほどお人好しではなかった。
 それは私が一番よく知っている。

 ふぅっー!

 そいつが口を尖らせて何かを吹き出した。
 その途端、美しい人のそのうつくしい頬に、ベッタリとそいつの唾液がこびりついていた。

 あ!

 しかし私は何とも思わなくなっている自分に気がついていた。

 あれ?

 さっきまであれほどその美しい人にメロメロになっていたのに、今はそいつが唾を吐きかけても何とも思わなくなっていた。
 ただ冷静に事の成り行きを見守っていた。

 ただ、そいつがいつまでも私にまで指先から出ている銀色の光を当て続けているものだから、だんだん頭が割れるように痛くなってきていた。
 美しい人は顔にかけられたのがそいつの唾液とわかっているのか、さらに眉をしかめ、顔を背けるような仕草をしていた。
 その途端、そいつは私に当てていた指先からの銀色の光を外すやいなや、その光までその美しい人に、今度は直接当てていた。
 いや、その光は日本刀に当たっていた。

 「それ、私に下さい。」

 そいつがそう言った。
 言ったのが先だったのか。
 日本刀は消えていた。
 と同時に、さっきまで私に当てていた左手からの銀色の光だけでなく、最初からその美しい人に当てていた右手からの光までもが消えていた。
 その途端、バタバタバタと駆け出す音が聞こえたかと思うと、道行く人に何度も何度もぶつかりながら走り去ってゆく背中があった。

 へ?

 私は一瞬、そいつの手の方に気を取られていた。
 美しい人はいなくなっていた。

 「もう、あれは人前には出られないでしょうねぇ。ククク、ククク。」

 心底から楽しいらしかった。
 その声を聞いて、私はメガネを外した時のそいつの目を思い出して、全身からゾゾゾーっと寒気が襲い、ブルブルと体が勝手に震えていた。
 しかし、今日の最高気温は28度。
 初秋のまだ暖かい昼下がりだった。



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プロフィール

ジョン・スミス・イノウエ

[ ジョン・スミス・イノウエ ]
関西在住。
何かを作ることが好きで、不思議なことが好きで、バイクが好きで、色々考えることが好きで、バス釣りが好き。(最近行ってないけどね)
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